Thirty Meter Telescope
地平線の向こうに広がる宇宙へ
TMT(Thirty Meter Telescope)プロジェクトは,直径30メートルの鏡を持つ超大型望遠鏡を建設する計画です.日本,アメリカ,カナダ,中国,インドが参加する国際協力事業で,日本の国立天文台や大学の他,カリフォルニア大学,カリフォルニア工科大学,カナダ天文学大学連合,中国国家天文台,インド科学技術省の各機関が協力して推進しています.
TMTの威力
TMTでは補償光学を用いると,現在世界最大の鏡を持つ8m級の望遠鏡に比べて約4倍の空間分解能と約200倍の感度を持ちます.
右は,直径10mの鏡を持つKeck望遠鏡で銀河系の中心領域を補償光学有り(右側)と無し(左側)で観測した写真です.さらに大きなTMTを用いることで,より鮮明な画像が得られるでしょう.(写真はKeck/UCLA銀河系中心研究グループ提供)
TMTの光学系は,1.44メートルの六角形の鏡を492枚並べて実現する直径30メートルの主鏡と直径3.1メートルの副鏡,そして2.5×3.5メートルの第三鏡で構成されます.主鏡に集められた光は,副鏡で反射し,第3鏡で反射した後,望遠鏡の左右に位置するナスミス台に置かれた観測装置に導かれます.
TMTの建設地:ハワイ島マウナケア山
ハワイ島マウナケア山の山頂は,世界中の大型望遠鏡が集まる天文学の一大拠点です.TMTは国立天文台が運用しているすばる望遠鏡のすぐ横に建設が予定されています.すばる望遠鏡が得意とする広視野観測で発見した遠方の銀河や暗い天体をTMTで詳細に観測する,この2つの望遠鏡を効果的に使うことで,宇宙の深遠をのぞくことができるようになるでしょう.