イメージスライサー (2008年度)

これは現在開発途中の中間赤外用イメージスライサー搭載型分光器(MIRSIS)の、イメージスライサー部です.

観測波長:10μm帯

通常,スリット分光という分光観測では望遠鏡で見える視野の内,ある1ラインの部分しか分光することができません.つまり、大部分の光を捨てているのです.

イメージスライサーとは面分光器の一種で,望遠鏡でとらえた星象を分割(スライス)して一直線に並べなおし,それを一気に分光するためのものです。これによって,今まで捨てていた部分の光も有効に活用できるようになります.

イメージスライサーは像を分割する「スライスミラー」,分割した光を再結像させるための「瞳鏡」,分割された像の角度を調節して分光器に入力する「偽スリットミラー」の三種の部品で成り立っています.

 

スライスミラー

幅0.3mmという細長い鏡を1.5°ずつ角度を変えて五つ配置したものです.やってきた光を別々の場所に反射させて像を分割します.

  目標精度 達成精度
材質 アルミ合金 A5052
最終表面 イオンコーティングによる金皮膜
表面粗さ RMS 40nm RMS 12nm
ミラー間の隙間幅(ミラーとして有効でない部分) 40μm 10μm
短辺方向の傾斜 0.02deg 0.019deg
長辺方向の角度精度 0.02deg 0.0023deg

 

瞳鏡

中心位置と曲率半径がそれぞれバラバラの球面鏡が五つ並んでいます.分割された光をそれぞれの球面鏡で受けて,それぞれまた別々の場所に再結像させます.

 
目標精度
達成精度
材質
アルミ合金 A5052

最終表面

イオンコーティングによる金皮膜
表面粗さ RMS 40nm RMS 20nm

形状精度

  PV 3μm
中心厚 15.0±0.2mm 15.050mm

 

偽スリットミラー

これは偽スリットミラーを設置するための台座で,三次元的に異なる角度がそれぞれについています.ミラー自体は市販されているものを買ってきてこの台座に取り付けます.並んでいる穴はミラーを取り付けるためのねじ穴です.

  目標精度 達成精度
材質 アルミ合金 A5052
最終表面

コーティングなし(金皮膜付きのガラスミラーを取り付け)
角度精度 0.02deg 0.02deg
光軸方向の位置精度   1〜8μm
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